スプーンを噛むと紙を破れなくなる?噛み締めが手先に及ぼす影響
「スプーンを噛む」と手が鈍る理由。意外な脳と筋肉の連動
スプーンを噛んだだけで、紙が破れなくなる?
スプーンを噛んだ状態で紙を破ろうとすると、なぜかうまく破れない。
この不思議な現象は、単なる偶然ではない。
脳と身体の密接な連携が関与しているのである。
人間の脳の運動野において、「手」と「口」は極めて近接した領域に存在している。
このため、口に強い力が入ると、手先の細かい運動制御にも無意識に影響が及ぶ。
つまり、スプーンを噛むことで咬筋が緊張し、その緊張が手先の繊細なコントロールを阻害してしまうのである。
さらに、咬筋の緊張は首、肩、腕にまで波及する。
手先の微細な力加減や調整能力は、肩から腕を通じて生まれる連動性に支えられている。
したがって、噛み締めによる過剰な緊張は、
- 細かな作業の失敗
- 集中力の低下
- 身体全体のぎこちなさ
といった問題を引き起こす要因となり得る。
たかが噛み締め、されど噛み締め。
無意識のうちに繰り返されるこの小さな癖が、日常のパフォーマンスに大きな影響を与えていることを、今一度意識すべきである。
次回は、噛み締めと「肩の可動域」の深い関係について、さらに掘り下げていく。