原油は恐竜の死骸からできている──そんな話を一度は聞いたことがあるかもしれない。実際、燃料関係の仕事をしている知人からも「匂いや質感、カビる感じからして、どう考えても動物性だと思う」と聞かされたことがある。
確かに、採れる場所によって匂いや粘度が違ったり、場合によっては腐ったような臭気を放つ原油を見れば、「これは生き物のなれの果てだ」と感じるのも自然である🦴
しかし、科学的に見たとき、それは誤解である。
✅原油の正体は恐竜ではない
原油の主な起源は、恐竜ではなく太古の海にいた微生物(プランクトンや藻類)たちである🌊🦠
数億年前、海や湖に棲んでいたこれらの微小な生物が死に、その死骸が海底に沈んで堆積。酸素の少ない環境下で分解されずに蓄積し、長い年月をかけて地中で圧力と熱を受け、やがて原油や天然ガスへと変化したのである。
❌恐竜の死骸が原油になることはあるのか?
結論から言えば、可能性はゼロではないが、主成分にはなり得ない。
大型の動物の死骸は多くの場合、腐敗して土に還るか、あるいは化石化する🦴。石油とは異なるプロセスを辿るのである。
かつて石油会社の広告に恐竜が使われたり、「化石燃料(fossil fuel)」という名称があることで、「化石=恐竜=石油」と短絡的に結びついてしまったのだろう。
💡原油が「動物的」と感じられる理由
それでも「動物のようなにおいがする」「カビる」「腐る」という感覚は間違いではない。
原油は有機物からできており、分解の過程で硫黄化合物などの“におい成分”が生成される🧪
また、保存状態によっては微生物が繁殖し、カビのようなものが発生することもある。これは、原油が“かつての命”から生まれたことの証といえる。
🌍産地によって違う原油の個性
中東の原油は軽質で処理しやすく、ベネズエラやカナダの原油は重質でドロッとしている。匂いも粘度も大きく異なる。これは、それぞれ異なる微生物の堆積や地質条件が影響しているためである。
つまり、**原油はその土地の歴史と生態系を映す“地層の記憶”**でもある。
🚗現代の暮らしを支える“見えない命”
我々が日常的に使っているガソリンや灯油は、こうした小さな命の積み重ねからできている。恐竜ではなく、海の中の目に見えない存在たちが作り上げたエネルギーなのだ。
ロマンがあるのは恐竜だけではない。
むしろ、目に見えぬ小さな命が数億年をかけて今に繋がっているという事実の方が、遥かに深いロマンを感じさせてくれる🧬✨