
私たちが病気になったとき、多くの場合は病院で診察を受けて、薬を処方してもらいます。これは「西洋医学」と呼ばれる考え方に基づいています。西洋医学はヨーロッパを中心に発展してきた医学で、病気の原因をはっきりと見つけて、それを直接治療することを大切にしています。血液検査や画像検査などで正確に診断し、薬や手術などによって、できるだけ早く症状を改善することが目的です。
一方、「東洋医学」は中国を中心にアジアで長い歴史の中で発展してきた医学です。体のバランスを整えることで、自然に治る力(自然治癒力)を高めることを目指します。「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」といった体の中を流れるエネルギーの状態を重視し、不調の原因を体全体のバランスの乱れと考えます。
東洋医学では、漢方薬や鍼(はり)、お灸(きゅう)などを使って、体質を改善しながらゆっくりと治していきます。例えば、「なんとなく調子が悪い」「疲れやすい」といった西洋医学では原因がはっきりしないような不調にも対応できます。
西洋医学は、急な病気や命に関わるような症状にとても効果的ですが、東洋医学は、体質の改善や長く続く慢性的な症状に向いていると言われています。
最近では、この二つの医学を組み合わせて治療する「統合医療(とうごういりょう)」も注目されています。それぞれの良いところを活かしながら、私たちがより健康に生きていけるよう工夫が進められているのです。
田中