一口に痛みといっても、発生機序は一つではありません。生理学的に大きく4つに分類されます。
1、侵害受容性疼痛
末梢の組織損傷や炎症により、侵害受容器が活性化され、痛み信号が伝達されるもの。
ぶつけたり、捻ったり、使いすぎたりした時に起こる普通の痛みがこれにあたります。
一般的には時間と共に軽減し、治癒に伴って消失します。
2、神経障害性疼痛
末梢神経や中枢神経の損傷によって生じる痛みで、非侵害性刺激での痛覚異常が特徴です。
坐骨神経痛や帯状疱疹後の神経痛などがこれにあたります。
通常のNSAIDs、痛み止めが効きにくい特徴があります。
これは侵害受容性疼痛と違い、局所の炎症による痛みが出ているわけではないからです。
3、中枢性疼痛
中枢神経(脳・脊髄)レベルでの異常により生じる痛みです。
脳や脊髄での「痛みの感覚の処理」がうまくいかなくなることで、身体のあちこちに理由のない痛みが続くことがあります。
線維筋痛症や、脳卒中後疼痛などがこれにあたります。
4、心因性疼痛
明確な身体的原因が存在しないが、心理的要因(ストレス・抑うつ・トラウマなど)が主に関与して生じる痛みです。
ストレスで首が痛い、うつで身体のあちこちが重いなどがこれにあたります。
また、強いストレス状態では、自律神経(交感神経)が過剰に働きます。すると、内臓機能が乱れて、胃痛・腹痛・頭痛などが出やすくなります。これらも気質的病変がなくても痛みとして自覚されることがあるため、心因性疼痛に含まれます。
痛みは、身体からのサインです。
どんな種類の痛みなのかをしっかり見極めて、適切なケアをすることが大事になってきます。
安井