東洋医学とは、中国をはじめとしたアジア地域で古くから発展してきた医学のことです。病気だけでなく、体や心のバランス全体を見ながら整えていくのが特徴で、現代の生活にもやさしく寄りそってくれる知恵がつまっています。
東洋医学の基本にある考え方のひとつが「陰陽(いんよう)」です。たとえば、昼と夜、動と静、熱と冷といった、正反対だけれどお互いに支えあって成り立つ関係。それと同じように、私たちの体も「バランス」が崩れると不調があらわれやすくなります。
また、「気(き)」や「血(けつ)」といったエネルギーや栄養の流れも大切にされます。それらがスムーズに巡っていると、私たちは元気に過ごせるのです。この流れを整える方法のひとつが、「鍼灸(しんきゅう)」です。
鍼灸は、ツボ(=経穴・けいけつ)と呼ばれる体のポイントに鍼やお灸で刺激を与えることで、滞った気や血の流れを促し、自然な回復力を引き出します。肩こりや冷え、不眠、胃腸の不調など、「病院に行くほどではないけれど、なんだかつらい」という時に、鍼灸がやさしく働きかけてくれます。
東洋医学は「未病(みびょう)」、つまり病気になる手前の状態にも注目します。だからこそ、普段から体の声に耳をすませ、バランスを整えておくことが大切になります。
季節の変わり目に疲れやすいと感じたとき、冷えやむくみが気になるとき、心がちょっとザワザワするとき――そんな日常のなかに、東洋医学の知恵を取り入れてみると、体も心もふっと軽くなるかもしれません。

田中
