幼少期の朧げな記憶。私は親にどこかのテーマパークに連れて行ってもらい、ヒーロショーを見ていた。テレビ放映しているメジャーなものなのか、そこのランドゆかりの物や、ご当地ヒーロー的なものだったのかは今では定かではない。一つだけ覚えているのは、そのステージを見て自分が泣いていたことだけだ。
演出や怪人が怖くて泣いていたわけではない。ヒーローを語る何者かの人間が、中に入って動き、話しているのがどこか不気味に感じて怖かったのだ。
調べてみると着ぐるみ恐怖症というものがあるようです。しかし、私の感じたものは、それとは少し違うように思えます。
なぜなら、同種の不気味さを周りの大人たちからも感じていたからです。
皆が一様に向けてくる顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔。
画一的なそれは、いわば着ぐるみの外側のようなもので、その中には、外と見た目にそぐわない、何か全く違う化け物が潜んでいるような、得体の知れなさを覚えていました。
その原体験のためか、私は、人の外面を無意識的に忌避するようになり、人の根の部分、その人をその人たらしめている物だけに価値を感じるようになりました。それを感じれた時に━これはあくまで自分が感じれたというだけで、本当に人の根本の部分なんて分かりようはないのですが━初めてその人と仲良くなれたような、そうでなければ人との繋がりに価値がない、というような考え方になってしまいました。
今でも着ぐるみは苦手ですし、丁寧な接客をする店員より、雑な対応をする深夜コンビニの店員のようなものの方に安心感を覚えてしまいます。
安井
