
ヘミングウェイの「老人と海」を読んだ。
ハードボイルドな漁師のおっちゃんが大物カジキを仕留める話。一言で言うとこれだけなのだが、無駄を削ぎ落とした描写と老人の生き様、最後の結末に、果たして老人は勝ったのか、負けたのか。とても趣深い。キリスト教的解釈など色々あるそうだが、学のない私にはよくわからない。
どんな困難にも立ち向かう老人。若い時ならいざ知らず、しかし、そんなことを頭の片隅に考えながらも決して諦めない。その結果、得られたもの。得られなかったもの。人生というのそんなものなのかもしれない。
解説に載っていた、ヘミングウェイは当時18歳の小娘に心を寄せており、そのことに愛想を尽かした夫人は別居の準備までしていたのだが、老人と海の草稿を読んで「これならばあなたが私にした酷い仕打ちをもう全部許してもいい」と言ったという。作品というのは偉大だ。
安井
