電車の中で周りを見渡すと、スマホを見ている人たちの姿が目に入る。
ほとんどの人が、うつむきながら画面を見ている。
首は前に落ち、肩は内に巻き、背中は丸くなる。
昔も、新聞や本を読む姿勢は前かがみだったと記憶しているが、
今のスマホ姿勢は、その比ではない。
角度も、時間も、さらに過酷である。
そうして今では「スマホ首」なんて言葉まで生まれた。
一般的になりつつあり、患者さんからもその言葉を聞くことが増えてきた。
姿勢を整えるなら、首じゃなく“下”に注目
「首が痛いから首をなんとかしよう」
「肩がつらいから肩を回してみよう」
多くの人がこう考えがちだが――
その不調、本当に“そこ”が原因だろうか?
「痛みのあるところに原因はない」
これは私の治療哲学の一つである。
首や肩の崩れは、身体の“土台”の崩れの結果ではないか?
そう考えてみる必要がある。
座っているときは「腰を立てる」
スマホを見るとき、つい猫背になる。
背筋を伸ばそうとしても、すぐに疲れてしまう。
その理由は、背中ではなく骨盤が倒れているからである。
だからこそ、まずは坐骨で座る意識、腰を立てて座ることが重要となる。
腰が立たない理由は、骨盤と腰椎をつなぐ脊柱起立筋――
とくに多裂筋がサボっているからである。
使えなくなっているだけなので、一度スイッチを入れてあげれば動き出す。
骨盤が立てば、背筋は自然と伸びる。
これが正しい座位姿勢の第一歩である。
立っているときは「膝を伸ばして、お尻を締める」
立位では、膝が曲がり、お尻が抜けている人が多い。
この状態では、いくら肩を引いても、姿勢は崩れたままである。
まずは膝をしっかり伸ばし、お尻をキュッと締めること。
なぜできないのか?
それは、ふくらはぎを緩ませ、下肢の外側を使って立つ方が“楽”だからである。
しかし、そこに美意識を持つことが大切である。
膝を伸ばせば、お腹に自然と力が入り、上半身がスッと整う。
上半身は、下半身の“結果”にすぎない
姿勢とは、全身の連動である。
だからこそ――
「首から治すのではなく、下から整える」こと。
これが、姿勢改善のいちばんの近道である。
まとめ
・スマホ首の根本原因は、下半身の崩れにある
・座っているなら「坐骨で座る」=腰を立てる
・立っているなら「膝を伸ばしてお尻を締める」
・首や肩の崩れは、全身の姿勢の“結果”にすぎない
日々の姿勢に、少しだけ美意識を。
首や肩に感じていた不調が、きっと変わってくるはずである。