
音としては、
夜の冷たい空気に溶けて
遠くの山や、眠っている町へ消えていきます。
でも、行き先をもう少しだけ深く言うなら。
一つは、聞いた人の胸の奥へ
思い出や後悔、区切りをそっと揺らしに。
一つは、今年という時間の終わりへ
「ここまででいいよ」と区切りを打つために。
そしてもう一つは、まだ形のない来年へ
余白をつくるための、最初の合図として。
鐘は何かを「追い払う」音でもあるけれど、
同時に、手放していいものを教えてくれる音でもある気がします。
だから除夜の鐘は、
どこかへ行くというより――
私たちの中を一周して、静かに戻ってくる
そんな音なのかもしれません。
今夜、もし胸に残るものがあれば、
それも一緒に、鐘に預けてしまって大丈夫ですよ。
