
最近よく耳にする「ウェルネス」と「ウェルビーイング」。似ているようで、実は目指している視点が少し違います。
ウェルネスという言葉は、アメリカの医師 Halbert L. Dunn が提唱した概念で、「より良い健康を目指すプロセス」を意味します。運動する、食事を整える、睡眠を意識する。つまり“健康になるための行動”そのものです。とても前向きで大切な考え方です。
一方、ウェルビーイングは「良好な状態そのもの」を指します。1946年の World Health Organization(WHO) の健康定義でも、健康とは単に病気がないことではなく、身体的・精神的・社会的に満たされた状態だとされています。ここには心の充実、人とのつながり、生きがいといった要素まで含まれます。
では、なぜ今ウェルビーイングが大事なのでしょうか。
それは、ウェルネスだけでは足りない場面があるからです。
運動もしている。食事にも気をつけている。検査数値も悪くない。それでも「なんだか満たされない」「疲れが抜けない」「心が重い」。こうした状態は、身体の問題というより“人生全体のバランス”の問題かもしれません。
ウェルネスは「何をするか」。
ウェルビーイングは「どう在るか」。
行動を整えることはもちろん大切ですが、その先に「私は心地よく生きられているか?」という問いがなければ、本当の意味での健康には届きません。
忙しさの中で、自分を整えることが目的になってしまうと、かえって苦しくなることもあります。本来は、よりよく生きるための手段だったはずなのに、気づけば義務のようになっている。そんな経験、ありませんか。
ウェルビーイングは、完璧を目指す概念ではありません。
“自分にとってのちょうどよさ”を見つけることです。
体がゆるむこと。
呼吸が深くなること。
誰かと安心して笑えること。
そうした瞬間の積み重ねが、人生全体の質を静かに底上げしていきます。
ウェルネスという日々の実践はとても大切です。でも、その先にあるウェルビーイングという視点を忘れないこと。それがこれからの時代の「本当の健康」なのかもしれません。
あなたは今、整えていますか?
それとも、満たされていますか?
安井
